身の丈に合わせた情報収集をする

 僕は思考体力がそれほどないです。

 頭をうんうん使っていると、すぐに疲れて、頭が痛くなります。

 

 まがりなりにも、知的労働の最たる例であるプログラマーという職業を生業としていますが、それでも僕はそういった弱い人間です。

 

 さて、プログラマービジネスパーソンです。

 ビジネスパーソンの成長方法について多数の著作がある赤羽雄二さんは、著書『速さは全てを解決する』の中で、成長を加速できる日々の情報収集メソッドとして以下を提唱しています。

 

  • 気になる単語を20〜30個、Googleアラートに登録する。
  • 登録して毎日届くアラートメールをざっと眺める。

 (ちょっとこれは乱暴な要約の仕方なので、詳細については原著を参照されると良いと思います)

 

 これによって、自分の関心のある分野に関する最新ニュースやトレンドをつかむことができる、というメリットがあります。

 

 僕はこれを実践するわけですが、問題が出てきます。

 冒頭に述べた「思考体力不足」問題です。

 

 僕はどちらかというと自分に厳しい性質なので、多少疲れていようが、がんばってGoogleアラートのメールを読みます。

 そこから気になった記事を拾い出して、読んで、あとあとに使えるようにEVERNOTEにクリップすることもします。

 

 そういったことをしていると、ますます頭痛がひどくなります。

 あまり無理をしすぎると、「成長を目指すための情報収集が原因となり、本来やるべき仕事が頭痛でできなくなる」という謎の逆転現象すら起こります。

 

 すなわち、赤羽さんが提唱するような成長志向のメソッドは、ある程度の知的体力があって、余力があるけどやっていない人に向けて提唱されているものと考えるべきです。

 僕のように、日々の仕事で、自身のエネルギーの8割方を使い切ってしまうようなひ弱な人間がやるには、荷が重すぎる訳です。

 

 そこで、自分の身の丈に合った方法へと、これをアレンジするのが適切と考えます。

 

 ここでヒントになるのが、「現代の魔法使い」とも呼ばれる落合陽一さんが『これからの世界を作る仲間たちへ』という著書の中で述べられていたことです。

 

 それは、世の中は全て人間が回している、という事実をきちっととらえよう、ということです。

 落合さんは特に日本人に多いと指摘されていていたのですが、どうも、大きな組織やシステムの話となると、僕たちは「システム」というよくわからないものが世の中を動かしていると考えがちになるようです。

 たとえば「Google」なり「フェイスブック」なりといった大きなシステムがあって、それがネットの世界で結構支配的な力を及ぼしている。だから僕たちは、そのシステムの中でなんとか生きていくしかない。

 そのように考えがちなわけです。

 

 でも実際は、「Google」も得体の知れないシステムではなく、中で何万という人があ働いている企業ですし、その企業の意思決定をしている経営責任者がいるわけです。Googleの検索結果の上位にどのページが来るようにするか、というアルゴリズムを決定する責任者もいますし、そのアルゴリズムを実装したエンジニアだっているのです。

 全て、人がやっているのです。

 

 僕は、落合さんのこの指摘を読んで、なるほどな、と思いました。

 僕が住んでいる札幌市の市長だって、多くの市民の投票の結果で選ばれたわけですし、市の予算の配分も人が決めて、その配分を承認したのも人ですし、その予算を執行して行政を行なっているのも人なのです。わけのわからないシステムが動かしているわけではない。

 だから、なにかうまくいかないときに、それを「システムのせい」、すなわち「組織のせい」、ひいては、「社会のせい」にしてしまわずに、「その組織なりシステムに流されてしまっている人の考え方や行動が変わるようにアプローチすれば、問題は解決するかもしれない」と考えたほうが、ずっと現実的だし、建設的なわけです。

 

 さて、ちょっと話ながなくなりましたが、こうした「人に注意をむけよ」というありがたい教訓を僕は受け取りました。それを日々の情報収集と結びつけ、自分の身の丈にあったやりかたに落とし込むと、こうなります。

 それは、眺めれるときにダラーっと眺めて、気になったニュースがあったら、「人」に注目してその記事を熟読する、というものです。

 

 毎日たくさん読むのは、僕の知的体力的に厳しいので、余裕があって、読もうという気になった時だけでいい。

 そして、ニュースを眺めて、気になる記事があったら、人に注目してその記事を熟読する。

 記事に登場している人物は誰か。その人は何をしたのか。なぜ、そんなことをしたのか。かつて、どういったことをしたのか。どう考えて、その行動に踏み切ったのか。

 また、その記事を書いている記者はどんな気持ちでその記事を書いたのか。どのように取材をしたのか。

 そういったところに、想いを馳せながら、じっくりと読む。

 こうすれば、赤羽さんのいうようなスーパービジネスパーソンにはなれないかもしれませんが、僕なりの視点で物事を眺められるような気がするのです。

 そして、僕なりの視点で物事を解釈し、判断し、行動すれば、それは他とは違った、オリジナルなものになる可能性があります。

 

 このようにして、僕は日々の情報収集にあたります。

 知的体力がない人間なりの、生存戦略です。

 知的体力がない人間が、生きていけないわけではありません。

 大きく幹を伸ばし、大きな葉を広げられる樹木だけが生き延びるわけではありません。

 地を這う苔だって、十分に生きていけるのが、地球です。

 僕は苔としての生存戦略をとろう、というわけです。

 

 

速さは全てを解決する---『ゼロ秒思考』の仕事術

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これからの世界をつくる仲間たちへ

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